人生の成功に欠かせない大切なものは何か?
この荒削りな問いの答えは学問や才能だけではない。
むしろ、長い年月を経ても目標を貫く心意気こそが、人の成功を左右するのだ。
アンジェラ・リー・ダックワースはこの概念を「グリット」という言葉で表現している。
志の高さが成功を決める
アンジェラ・リー・ダックワースの研究によれば、「グリット」という心構えが、人の成功を予測する最も確かな指標だという。
グリットとは、長期的な目標に対する情熱と粘り強さを併せ持つ特性のことである。
彼女の研究は、軍人や学者、商人など、様々な職業の人々を対象にしたものであり、成功した人に共通するのは、この「グリット」という特性だった。
アメリカの発明家トーマス・エジソンは「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」と述べている。
これはまさにグリットの本質を言い表している。
一時の努力では成し遂げられないものも、日々積み重ねる粘り強さがあれば、大きな成果をもたらす。
心の持ち方が未来を決める
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドウェックが提唱する「成長マインドセット」という概念がある。
これは、人間の能力や知性は固定されたものではなく、努力や学習によって成長し、向上させることができるという信念を指す。
対照的に、「固定マインドセット」は能力が生まれつき決まっているという考え方だ。
ドウェックの長年にわたる研究によれば、成長マインドセットを持つ子どもたちは、困難な課題に直面しても簡単には諦めず、失敗を学びの機会として捉え、粘り強く挑戦を続ける傾向がある。
彼らは「まだできない」という状態を「まだできるようになっていない」と解釈している。
そして、努力すれば改善できると信じている。
一方、固定マインドセットの子どもたちは、困難に直面すると自分の能力不足を感じて諦めやすく、挑戦を避ける傾向がある。
彼らは失敗を自分の価値を脅かすものと捉え、努力することを無駄だと考えがちだ。
ドウェックの研究は、教育現場だけでなく、ビジネスや個人の成長にも大きな影響を与えている。
成長マインドセットを持つ人々は、新しいスキルの習得に積極的で、フィードバックを建設的に受け止め、他者の成功に学ぼうとする姿勢を持つ。
ダックワースも、この「成長マインドセット」がグリットを育てる上で非常に有効な手段だと考えている。
つまり、脳が新しい経験や学習によって変化し、成長する能力を理解することで、失敗を恐れず、むしろ成長の機会として捉えられるようになる。
そのためにも、努力や過程を称賛し、「まだ」という言葉を使って可能性を示唆する。
要するに、失敗を学びの機会として捉えることが効果的なのだ。
志を育てる道のり
ダックワースは、最も有望なアイデアや直感を取り上げ、それらを実際に試すことの重要性を説いている。
成功したかどうかを見極め、失敗から学び、再び挑戦する。
まさに、グリットを育てるプロセスそのものが、グリットを必要とするものだ。
元NBA選手マイケル・ジョーダンは「私は人生で何度も失敗してきた。だからこそ成功したのだ」と語っている。
この言葉は、失敗を恐れず挑戦し続けることの重要性を示している。
子供にグリットを教える場合、まず大人自身がグリットを体現しなければならない。
「率先垂範(そっせんすいはん)」という言葉がある通り、手本を示すことが最も効果的な教育方法だ。
人生は長い旅路だ。その道中には、数多くの困難が待ち受けている。
しかし、グリットという力があれば、多くの障害を乗り越えられるだろう。
日々の小さな努力を積み重ねること。
そして、失敗を恐れず、常に学び続ける姿勢を持つこと。
そうすれば、長期的な目標に対する情熱と忍耐力(グリット)が身につき、目標を達成することができる。
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